淺田先生Q&A

淺田先生の研究は、遺伝子や染色体など、私たち生物に関することで、とっても大切なことです。でもその研究内容は、子どもたちや一般の人には少し難しいかもしれません。
そこで、QAを使って淺田先生に分かりやすく解説していただきました。

淺田 伸彦

どうしてショウジョウバエで研究するのですか。

ショウジョウバエは脊椎こそないものの生物学的には節足動物に分類されている高等動物です。ショウジョウバエは、世代時間が約10日間と短く染色体の数が少ないなどの理由で遺伝子の実験には都合がよく、さらに飼育もやさしいので多くの研究者がショウジョウバエを使っています。

ショウジョウバエの研究では、どんなことが分かるのですか。

遺伝子の並び方は、動物ではショウジョウバエが最初に発見されました。遺伝子は設計図、蛋白質は製品なので、両方を調べるとどのようなつくりになっているのかがよくわかります。ショウジョウバエは、遺伝子の変異が多いのが最大の特徴で、実験のモデルとしてはとても扱いやすいのです。
研究では、ショウジョウバエの遺伝子や染色体を単離し増やして性質を調べます。また遺伝子の情報を持っているタンパク質の性質を調べます。タンパク質を調べると代謝、消化、メタボリズムなどがわかります。ショウジョウバエは、世代交代が早いのでそういった実験の結果を調べるのにとても向いているのです。得られた結果は、ヒトにも応用することができるのではないかと期待されています。

ショウジョウバエの種類はどれくらいですか。

世界中には4000種類くらいいます。日本国内には400種類くらい。岡山県には52種記録されています。
形態的に共通したつくりを種類と言いますが、遺伝子学は同じ遺伝子を持つ系統を実験モデルとして使います。
ある実験で1キログラムのショウジョウバエが必要になったのですが、ショウジョウバエは1000個体で1グラムですから、相当の個体数を集めなければなりませんでした。飼育も簡単で扱いやすいショウジョウバエですが、量が必要な時はとても大変です。

研究室にはどれくらいのショウジョウバエがいますか。

キイロショウジョウバエ、アナナスショウジョウバエ(沖縄以南)、イチジクショウジョウバエ、アカショウジョウバエの4種類のショウジョウバエがいます。
キイロショウジョウバエの系統として、岡山系統、ソ連(現ロシア)1系統やイスラエル5系統のショウジョウバエも飼育しています。野生型といって見かけは一緒で遺伝子に違いがあります。
アカショウジョウバエは、関西国際空港の埋め立てを行っている地区に初めて日本で発見されました。家島諸島の男鹿島から運ばれたのです。本土で2か所目に採集されたのは、岡山県笠岡市で昆虫採集をしていて私が発見しました。ショウジョウバエの移動距離は風に乗っても100mくらいですので、ヒトやモノにくっついて運ばれたものだと考えられます。

ショウジョウバエの寿命はどれくらいですか。

寿命は、およそ1か月で、成虫になるまで卵で1日、幼虫4日間、さなぎ5日間くらいです。その間に、200個くらいの卵を産みます。

ショウジョウバエはどんなものを食べているのですか。

水に酵母(イースト)、トウモロコシ、砂糖を溶かし、寒天で固められたものを与えています。
余計な水分が入り込まないように注意しながら作ります。

ショウジョウバエは、ばい菌を運んだり持っていたりするのですか。

多くの人にかんちがいされているのですが、ショウジョウバエはばい菌を持っていません。ですから日本以外の国からもショウジョウバエを持ち込むことができます。
害虫イメージが強いのですが、安心な生き物です。

子どものときから理科が好きでしたか。

好きでした。小学生になる前に石亀を卵からふ化させたこともあります。

研究をしていてどんなことが楽しいですか。

誰も知らないこと、できないことを発見したときが一番の喜びです。
メラニン色素を作りだす酵素チロシナーゼをきれいに取り出すことは誰も成功していなかったのですが、実験によってきれいに取り出すことができたときはとても嬉しかったです。そして、研究者としては論文が採択されたときが一番うれしいです。採択されるということは、その研究が学術的に認められたということだからです。